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2025.01.30

広報(PR)とは何をする?役割・仕事の内容・向いている人などを解説

広報は、組織の重要なポジションのひとつです。広報とは、Public Relations(パブリック・リレーションズ)の訳語で「相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント機能」と定義されています。

広報は企業で重要な役割のある職種ですが、具体的にはどんな仕事があるのかご存じでしょうか。今回は、広報の企業での役割や仕事内容、どんな人が向いているのかなど、わかりやすくまとめていきます。

広告など販促との違いや、必要なスキルについても解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

広報(PR)とは

広報(PR)とは

広報は、企業と社会との関係を構築する役割を担っています。さまざまな戦略のもとに企業の情報を発信し、企業の認知度を上げてイメージアップすることが主な仕事です。

情報の発信先は、自社のブランド力向上を目的とした外部発信である自治体・マスコミや、社内発信です。外部には自社をアピールして社会とのつながりを持ち、内部には社会の反応やフィードバックを還元します。

広報はPRの一部に位置し、商品の販促活動にあたるプロモーションとは異なる活動です。組織の事業活動報告や方針の発信、企業の成長を手助けしてくれる相手を増やす役割があります。

広告との違い

広報と広告は、目的が大きく異なります。広告は、企業がメディアへの掲載枠を購入して、商品やサービスなどの販売を促進し、売り上げを稼ぐための手段です。

一方、広報の目的は、情報発信によってステークホルダーからの信頼を獲得し、良好な関係を構築することです。その結果、企業の発信した情報をメディアに興味を持ってもらい、取材や報道してもらえるように活動を行います。

その戦略のひとつとして広告を用いる場合もありますが、広告は売り上げを得るのが目的である一方、広報は信頼を得るのが目的です。

広報と広告は、目的の違いに加えて、関わる相手との関係性も異なります。広報と関わるのは主に、記者・編集者・ディレクターなどで、相手とは基本的に平等の立場です。

しかし、広告と関わるのは営業担当者で、メディアから掲載枠を購入しているため、顧客として扱われます。

IRとの違い

IRとは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、実績や今後の見通しなどの情報開示を行う活動です。

広報とIRは、どちらも良好な関係を築く目的に活動する部分では同じですが、IRは資金調達を有利に進めるまでが目的です。広報は、企業のイメージアップにつながる情報を発信しますが、IRは投資判断に関する企業情報をよしあしに関係なく発信します。

IRは公正さと説明責任が重要となり、株主総会によって長期的に良好な関係を築けるように行います。

広報(PR)の役割

広報(PR)の役割

企業と社会が良好な関係を構築するため、広報には社内と社外の両方にさまざまな発信を行う5つの役割があります。

情報発信

広報の一番の役割は、社会との信頼を構築するための情報を企業から発信することです。のちに広報の仕事内容で紹介する、プレリリースの配信や自社メディアやSNSの運用が当てはまります。

また、文章としての発信だけでなく、メディアなどの相手に与える印象や行動も企業からの情報発信のひとつです。広報は、立ち振る舞いや言葉遣いなど、直接的な行動の一つひとつにも細心の注意を払う必要があります。

コミュニケーション

広報は、ステークホルダーとコミュニケーションをとり、情報発信によって社会にどのように受け入れられているか確認する役割もあります。

ステークホルダーとは、企業との利害関係にあたる相手のことで、クライアント・株主・経営者・顧客・メディア関係者などです。また、最近ではTwitterやInstagramなどのSNSでもコミュニケーションが図れます。

企業の信頼を得るには、広報をとおして企業からの一方的な情報発信だけでは難しいため、コミュニケーションから社会の反応を確認し、誠実に対応するのが重要です。

社内共有

広報の役割は、社外への情報発信やコミュニケーションだけではありません。社会とのコミュニケーションによって得られた、改善点などのフィードバックを社内活動に取り入れ、事業活動に加える役割もあります。

社内の現場担当者にとって、外部の情報を確認するのは困難です。そのため、社内外の広い部分を把握している広報が、コミュニケーションをとったステークホルダーからの企業に対するフィードバックや社会の動きを感じ取り、社内に共有します。

社内改革

広報は、直接経営陣に企業の課題を伝える場合もあります。ステークホルダーから、企業に対する批判やリスクなど困難な課題を指摘された場合、それが社内全体の大きな変革につながる内容なら、経営陣に伝えて改善を促すことも必要です。

この対応は広報の仕事内容である危機管理対応にあたりますが、社内改革は危機回避以外にも前向きな改革があります。CSRや、SDGsの取り組みを行うよう、経営陣に提案することも改革です。

経営陣に広報の意見を聞いてもらうためには、広報には経営視点も必要です。経営視点を身につけるためにも、普段から経営陣ともこまめにコミュニケーションをとります。

ブランディング

ブランディングとは、自社の商品やサービスを認知してもらいたい相手に対して、自社のブランドイメージを高めるための取り組みです。

広報はコミュニケーションによって、社会における自社の現在の立場を把握しつつ、必要に応じてブランディングを行います。

ブランディングは、社会での自社のブランド価値を社内に知ってもらうインナーブランディングと、社外に企業の商品やサービスを認知してもらうアウターブランディングの2種類が基本です。

加えて、社外との関係性構築に大きな影響を与える企業ブランディングや、ファンを増やしてユーザーや売上を増やすサービスブランディングもあります。

これらのブランディングが成功すれば、社外のファンが増えて事業活動がうまくいくだけでなく、社内従業員たちのモチベーションが上がって企業が円滑に回ります。

広報(PR)の仕事内容

広報(PR)の仕事内容

広報の仕事は幅広く、企業の事業展開によっても内容が変わります。以下では、広報の仕事のなかでも基本の仕事内容を6つ紹介します。

プレスリリースの配信

幅広い広報の仕事のなかでも代表的なのは、プレリリースの作成・配信です。プレリリースとは、企業がメディアに向けて発表する公式情報で、主な内容として、新たなサービス・商品情報や企業ニュースなどがあります。

プレスリリースの目的は「企業の認知度を上げて信頼してもらう・ステークホルダーからの共感してもらう・ステークホルダーからの反応を次の対策に活かす・PR活動にかかる費用を抑える」の4つです。

プレスリリースの配信は、4つの目的を果たせる内容になっているかが重要です。また、取材などのメディアリレーションズにつながる可能性があるため、タイミングを見極める必要もあります。

メディアリレーションズ

メディアリレーションズとは、メディアと良好な関係を築くための活動です。サービス・商品に対する取材を受けるほか、プレリリースの配信もメディアリレーションズのうちのひとつです。

メディアリレーションズは、情報発信だけでなく、ステークホルダーの意見を聞くヒアリングも目的です。

ヒアリングをもとに、メディア関係者からの助言を活かして改善すれば、さらに次の取材やメディアでの取り上げにつながるなど、自社の認知が上がり良好な関係が構築できます。

自社メディアやSNSの運用

自社メディアやSNSの運用も広報の仕事です。自社メディアは、情報発信のツールとして役立ちます。また、TwitterやInstagramなどのSNSは、ステークホルダーとのコミュニケーションツールとして活用可能です。

SNSは便利なツールで、アカウント作成への作業も簡単で気軽に始められます。さまざまな意見が掲載されているため、参考になる情報が多く、力を入れる企業が増えているのが現状です。

しかし、情報が拡散されやすく誰でも閲覧できるため、表現や内容に気をつけなければいけません。

一方、自社メディアは企業の目が届きやすいですが、SNSと同様に掲載内容のチェックは必要になります。

自社メディアやSNSの内容が企業イメージとずれていないか、文言などのトーン&マナーが統一されているか、センシティブな内容になっていないかなどの確認は必須です。

イベントの企画

イベントの企画も広報の仕事です。広報は、新しい商品やサービス発表などを企画します。イベントは、情報発信・コミュニケーション・ブランディングなど、あらゆる活動につながるため、どのメディアを招待するかなど、見極めや調整力が必要です。

イベントの種類は、メディア関係者向けの展示会やセミナーなどがあります。また、授賞式やミーティングなど社内向けのイベントもあり、従業員のモチベーションを上げる目的や日頃の感謝を伝えるために行われます。

危機管理対応

トラブル発生時に、改善のためのガイドラインをまとめたり、トラブルを避けるためのマニュアルを作成したりする危機管理対応も広報の仕事です。危機管理対応は、トラブルが起こる前の事前準備と、発生時での対応の両方があります。

SNSが発達し、情報が拡散されやすくなったため、いくら事前に対策を打っていても、炎上や名誉毀損などのトラブルは起こる可能性があります。対応次第で、自社ブランドの価値が悪くなる場合もあるため、危機管理対応はとても重要です。

社内報の制作

社内での共有やインナーコミュニケーションのツールになる、社内報作成も広報の仕事です。社内報では、自社の社員に向けて企業の理念や情報共有、社員紹介などを発信します。

共有する情報の内容は、企業理念の浸透をはじめとしたインナーブランディングに加えて、自社が社会にどのような取り組みを行って関係を構築しているかなどのアウターブランディングについてです。

これまで、社内報は紙媒体の冊子などが主流でしたが、最近ではアプリなどのweb媒体でも発信されています。配信方法は、メルマガや社内SNSなどさまざまです。

企業理念を社内に浸透させる重要性や、経営理念との違いをこちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。

参考記事:企業理念とは?経営理念との違いや社内外に浸透させる重要性

広報のやりがい

広報のやりがい

広報の仕事は、活動次第で企業の商品やサービスの認知度や印象も大きく変わるため、責任のあるポジションです。広報の仕事はどのような魅力ややりがいがあるのかを確認しましょう。

汎用性の高いスキルが身につく

広報の仕事は、比較的少人数で幅広い業務をこなすため、必然的に文章力や関係構築能力などの高いスキルが身につきます。広報担当は大手企業でも2〜3名ほどで活動しているところも珍しくありません。

それでいて、役割は情報発信やコミュニケーション、さらにブランディングなど、多岐にわたります。さらに、同時進行してく場合も多いため、汎用性の高い広報の仕事をこなすスキルがないと務まりません。

社会に貢献できる

広報は、社会に発信したメッセージによる反応を確認できるため、どれだけ自社が社会に貢献できたかも体感できます。社会への貢献度合いを直接感じられるところは、やりがいにつながります。

また、SDGsなどの社会的な取り組みに関われるところも魅力です。実際に、広報の求人では、環境分野やサスティナビリティなどに関する経験を求める企業が増えています。

広報に必要なスキル

広報に必要なスキル

汎用性の高いスキルが求められる広報ですが、具体的にどのようなスキルが必要なのかを確認しましょう。

文章力

広報にとって、文章力は必要不可欠のスキルです。広報の仕事であるプレリリースの配信・自社メディアやSNSの運用・社内報の作成などは、すべて文章で行います。広報は社内外問わず、いかに相手にわかりやすく的確に情報を伝えられるかが重要です。

また、気軽に配信できるTwitterやInstagramなどのSNSは、ひとつの言葉が自社のイメージを大きく変える可能性もあるため、危機管理対応を含んだ文章力が必要とされます。

情報収集能力

広報には、社内の出来事や社会の流れなどに敏感に反応して、情報を仕入れる情報集収納能力が必要です。一見無関係に思える情報が、新たなビジネスチャンスを生み出す場合もあるため、多方面の情報を取得できる能力も求められます。

現代では、SNSやインターネットなどでもさまざまな情報が溢れています。広報は、正確な情報を伝えるために、その情報の出所はどこか、収集した情報に信憑性はあるのかなどを見極めなければいけません。

企画力

広報には、収集した情報をもとに自社に必要な情報を組み立て、企画化して伝える能力も必要です。企画力は、まず自社をどのように見せたいかなどのゴールを決めてから企画を組み立てていくため、編集力とも言い換えられます。

広報は、社外のメディアや社内の従業員に興味を持ってもらい、今の課題をクリアできるような企画を立てる能力が必要です。

プレゼンテーション能力

広報の仕事は、プレリリース配信・社内報・SNSの運用など文章で伝える場面が多いですが、メディアプロモートなど口頭で伝える場面もあるため、プレゼンテーション能力も求められます。

メディアプロモートとは、自社を紙面や番組で取り上げてもらうために、メディアにアプローチする方法です。

プレゼンテーションは、相手に直接想いを届けられるため、こちらの意気込みや熱量を伝えられるメリットがあります。言葉にする場合は、単に文章で伝える内容を口頭にするのではなく、論理立てた話の組み立て方など、相手を話に引き込むスキルも必要です。

また、プレゼンテーションは話す際の口調や態度、振る舞いなども自社のイメージを左右するため、どのような印象を与えるのかなど意識して行います。

関係構築能力

広報には、社内の従業員や社外のステークホルダーとの信頼関係を構築できる能力が必要です。企業が円滑に活動できる環境を整えるための関係構築能力は欠かせません。

相手との関係性を良好にするには、目的や方向性にずれが発生しないように意識したコミュニケーションを行います。また、問題点が発生した場合には、改善点などを提案して誠実な対応をとる行動も重要です。

広報(PR)に向いている人

広報(PR)に向いている人

広報担当にはどのような人が向いているのか、広報として結果を出している人の7つの特徴を紹介します。

全社視点を持てる人

広報は、コミュニケーションをとる関係者がとても幅広く、経営への影響力が強いため、全社視点を持てる人が適任です。

広報は仕事をするうえで、まずは全社視点で企業を社会でどんな立場にしていくのか、大きなゴールを掲げます。そして、ゴールに向かうためのアクションを起こす相手や、場所を的確に判断し、相手に合った活動を起こします。

広報は、企業の全体像をイメージしながら、ときには企業のトップである経営陣に、経営視点でアドバイスも行うことも必要です。どの内容の仕事をこなす場合でも、企業の目指すゴールを頭に置いて臨みましょう。

細部までこだわれる人

あらゆる活動に細部にまでこだわれる人は、広報に向いています。広報には、全社視点のように大きな視点も必要ですが、業務の調整・文章校正・事務関係など、作業の細部にまで目が行き届く確実性も必要です。

小さなケアレスミスであっても、場合によっては企業の信頼に関わる場合があります。事務作業は、基本であるダブルチェック体制をはじめとした文章校正の工夫など、細かなルール作りが必須です。

とくに、数字やソース、過去に発信した情報の相違がないかなど、細心の注意を払わなければいけません。小さな事務作業であっても気を抜かず、的確なチェックを実施して信頼性を高めましょう。

人付き合いが得意な人

広報は、さまざまな関係者と交流をもつため、フットワークが軽く人付き合いが得意な人が向いています。気持ちよく人付き合いできる人は、信頼を得やすく、良好な関係構築が可能です。

業界の集まりや広報担当者が集まるコミュニティの参加には、出会いや学びも期待できるため、積極的に参加できる人が向いています。

マルチタスクが得意な人

広報の仕事は幅広く、それぞれの仕事が同時進行しているケースも多いため、マルチタスクが得意な人が向いています。自社の課題に合わせて優先順位をつけ、効率よく作業を遂行していく能力が必要です。

場合によっては作業効率を上げるため、あえて着手しない仕事を作るなどの判断力も問われます。広報には、複数の作業を同時進行していくマルチタスク能力と、作業の優先順位をつけられる判断力が備わっている人が必要です。

情報感度が高い人

広報は、情報収集がどの仕事内容においても要になってくるため、情報感度が高い人が適任です。

情報のなかには、一見無関係と思える情報が企業のメリットになる場合もあります。広報には、情報を取捨選択でき、特定の情報を掘り下げて収集できる能力、さらに情報の整理・アウトプットができる能力が必要です。

情報感度を上げるためには、関係者との会話のなかで気になったワードがあれば調べ、日常から役立つ情報を見つけるなど、常にアンテナを張りましょう。

根気強い人

広報の仕事は、すぐに結果が出ないものが多いため、根気強く取り組める人が向いています。設定した目標に向かって継続的な改善と提案を繰り返し、業務を遂行できる忍耐強さが必要です。

また、広報活動は困難な状況を強いられる場面も多いため、目標を見失わずに追い続けられる人が求められます。

まとめ

広報(PR)とは、一方的な情報発信を行う広告とは違い、企業と社会の良好な関係を構築し、戦略のもとで情報発信する活動です。企業での役割は、社外に向けた情報発信やブランディングだけでなく、社内への共有や経営陣営への改革の提案など多岐にわたります。

仕事内容も、一般的なプレリリースの配信やメディアリレーションズだけでなく、イベントの企画や危機管理対応まで幅広く、汎用性の高いスキルが必要です。

企業への情報発信は、これまでのwebメディアに加え、最近ではTwitterやInstagramなどのSNSでも発信されています。SNSは幅広いステークホルダーと気軽にコミュニケーションが取れる便利なツールで、情報収集の目的としてもおすすめでしょう。

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