PAC COLUMNPAC コラム

2025.11.30

イベントのプレスリリースを成功させるための書き方ガイド

イベントを告知する際、ただ情報を発信するだけではメディア掲載や集客に結びつきません。PR TIMESも「イベント開催のプレスリリースはニュース性と構成が鍵」と指摘しています。 本記事では、「なぜプレスリリースがイベント成功の鍵となるのか」から、「記者・メディアが取り上げたくなるリリースの構成」「実践テンプレート」まで、広報初心者でも迷わず書き進められるようステップごとに解説します。この記事を読み終えたあとには、自社イベントのプレスリリースを自信を持って作成し、配信できるようになることを目指します。

プレスリリース作成の前に押さえておきたい基本ポイント

イベントを告知する際のプレスリリースは、単なる案内文ではなく「メディアが価値を見出せるニュース」として構成されるべきです。まずは、誰に向けて何を伝え、どのような変化を起こしたいかを整理しましょう。ターゲットは記者・編集者という“プロ目線”の読み手である点を忘れずに。配信先・配信タイミング・並行するSNSや自社サイトでの告知まで含めて計画を立てることで、リリースの効果が飛躍的に高まります。
たとえば「ただイベントを開催します」ではなく、「このイベントはなぜ今、注目されるのか」「どんな社会的な意義/背景があるのか」を冒頭で提示することで、記者の目は「記事に値する」と判断しやすくなります。併せて、読み手が『誰が/何を/いつ/どこで/なぜ/どのように』という情報を瞬時に把握できるよう、構成をシンプルかつ明確に保つことが肝要です。

プレスリリースとニュースリリースの違い

「プレスリリース」と「ニュースリリース」という言葉は似ていますが、実務上は微妙に使い分けられています。プレスリリースは主にメディア(新聞・テレビ・Webメディア)に対して発信し、取材・掲載を目的としている点が特徴です。これに対してニュースリリースは自社・団体が生活者、取引先、株主など多様なステークホルダーに向けて“最新情報”を伝える文書というニュアンスが強いです。とはいえ、実際には両者がほぼ同様の目的・構成で使われるケースも多いため、言葉そのものより「誰に」「何を」「どう伝えるか」の目的と対象を明確にすることが先決です。
記者が「記事にできるかどうか」を瞬時に判断することを前提に書くならば、プレスリリースという意識で取り組むのが安全です。

イベント告知としてプレスリリースを出すメリット

イベントを開催する際にプレスリリースで告知を行うことには、複数の明確なメリットがあります。まず第一に、メディア取材を誘致できるチャンスが生まれ、新聞・Web媒体・テレビ番組などでの露出につながる可能性があります。次に、SNSや自社サイトだけでは届きにくい潜在層・参加検討者層にもリーチできるため、「認知拡大」かつ「参加動機喚起」につながります。また、イベントが終わった後でも、プレスリリースは“情報資産”として残り、検索流入やブランド訴求の面でも活用できます。
加えて、イベントを出発点として自社商品の訴求やブランド価値向上を図ることも可能です。つまり、単なる集客ツールにとどまらず「広報的なメッセージ発信」「ブランド構築」「長期的な認知戦略」の三位一体でメリットを発揮します。

プレスリリースの構成と必須項目

プレスリリースは「読み手が迷わず理解し、必要な情報をすぐ取得できる構造」に整えることが重要です。イベントの告知では、ニュース性を伝える要素と運営情報の両方が求められるため、構成が整理されていないと記者は読み進める前に離脱してしまいます。基本は、タイトル → リード文 → 本文 → イベント概要 → 会社概要という流れが一般的で、これに加えて写真素材や図版、問い合わせ先があると、より取材につながりやすくなります。
なかでも重要なのは、冒頭で「このリリースは何のニュースなのか」を一目で伝えること。さらに本文で背景・目的・特徴を論理的に展開し、概要では参加条件や日時などの必須情報を網羅します。読み手が記事化判断をしやすい順序に組み立てることで、同じ内容でも掲載率が大きく変わります。情報を詰め込みすぎず、要点が整理された“公式文書”としての体裁を整えることが、イベントリリース成功の基盤となります。

タイトル/サブタイトルの書き方と効果的な切り口

タイトルはプレスリリース全体の成果を左右する最重要要素です。記者が読むかどうかを判断する段階で、最初に目に入る部分であり、「何が起きるのか」が一瞬で伝わる言葉選びが求められます。イベントのタイトルでは、単なるイベント名だけでなく、ニュースとしての価値を示す“切り口”を加えることが効果的です。たとえば、初開催・地域性・社会課題・業界初の取り組み・参加者規模など、記者が「記事化しやすい」と感じる視点を盛り込みます。
サブタイトルはタイトルを補足し、より具体的な魅力を提示する役割があります。タイトルでニュース性を示し、サブタイトルで“誰にとってどんなメリットがあるイベントなのか”を明確化するイメージです。また、数字や固有名詞を入れることで説得力が増し、読み手の注目度が高まります。タイトルとサブタイトルの組み合わせによって、イベントの価値を直感的に理解できる状態をつくることが成功の鍵です。

リード文・本文・イベント概要・会社概要…それぞれの役割と記載すべき内容

リード文は、記事でいう「冒頭のまとめ」のような役割をもち、イベントの核心情報をコンパクトに伝える部分です。ここでは「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように」という基本情報を簡潔に整理し、読み手が概要をすぐ理解できるようにします。本文では、イベントを実施する背景、開催目的、特徴、期待される効果などを、論理的に説明していきます。過不足なく、客観的な情報で構成することが信頼性につながります。
イベント概要は、参加希望者や記者が確認すべき実務的な情報をまとめる場所で、日時・場所・参加方法・費用・主催者情報などを網羅します。これらが欠けると問い合わせが増え、記事化の際にも使いづらくなってしまいます。会社概要は、読者に安心感を与えるための“身元情報”として必要で、自社の基本データ(所在地・代表者名・事業内容など)を簡潔に記載します。これら各パートの役割が明確であるほど、リリース全体の完成度は高まり、記事化率の向上にも直結します。

記者・メディアが「取り上げたくなる」リリースにするためのコツ

メディアが記事化を判断する際に重視するのは、「その情報にニュース価値があるかどうか」です。どれだけ丁寧に書かれたプレスリリースでも、記者が“他の読者に伝える価値がある”と判断しなければ掲載にはつながりません。そのため、文章の書き方だけでなく、どのような視点で情報を組み立てるかが最重要ポイントになります。
イベントの告知では、背景や意義、社会との関連性が明確であるほどニュース性が高まります。さらに、第三者が判断しやすい客観的なデータや根拠を添えると説得力が増します。読み手が「この記事は読者の関心を集められそうだ」と思えるよう、情報の粒度・視点・構成を意識することが、メディア露出への大きな一歩となります。単に催事を案内するのではなく、「なぜそのイベントが今注目されるのか」を言語化する姿勢が求められます。

ニュース性・社会性・数字・明確な情報を盛り込むポイント

記者が最も注目するのは「ニュース性」です。ニュース性とは、“新規性・話題性・社会性・意外性・季節性”のいずれかを含んでいるかということ。イベントであれば、初開催、限定開催、地域貢献、社会課題の解決、業界初の取り組みなどが該当します。読者が「知る価値がある」と思えるかどうかが基準となるため、この視点を最初に押さえましょう。
また、数字は説得力を大きく高めます。参加見込み人数、実施規模、効果測定のデータ、関係者数など、客観的に示せる数字が入ると記事化しやすくなります。さらに、読み手が誤解しないよう「事実」と「意見」を混同させないことも重要です。あいまいな表現は避け、日時・場所・実施内容・対象者などは正確かつ明確に記載することで、記者が安心して扱える情報になります。

タイミング/配信方法/オンライン・オフライン別の注意点

プレスリリースは「いつ配信するか」によって成果が大きく変わります。イベントの場合、告知は早すぎても遅すぎても効果が薄く、一般的には開催の2〜4週間前が目安です。記者は締め切りや編成の都合で情報を扱うタイミングが決まっているため、開催直前だと取材が間に合わない可能性があります。
配信方法については、配信サービスの活用に加え、イベントと関連の強いジャンルの編集部へ直接メール送付する手段も有効です。オンラインイベントの場合は、プラットフォーム・参加手順・通信環境など、読み手が迷わないための案内が必要です。オフラインイベントでは、会場の詳細、アクセス、感染症対策、安全面の説明などを丁寧に補足することで、メディアからの信頼性が高まります。形式に応じた情報整理をすることで、“扱いやすいリリース”として評価されやすくなります。

実践!テンプレート&チェックリスト付き

ここでは、プレスリリースを実際に書くための「具体的な手順」と「そのまま使えるテンプレート」を紹介します。文章の型が決まっていることで、初心者でも構成に迷うことなく、必要情報を整理しながら書き進めることができます。また、テンプレートはイベント規模や内容を問わず応用できるよう、できる限り汎用的に設計しています。
さらに、作成後のチェックリストを用意することで、抜け漏れを防ぎ、記者が記事化しやすい品質に仕上げることができます。読み手が求める情報を正確かつ過不足なく伝えることは、メディア掲載率の向上につながります。実践フェーズとして、この章を参考にしながら自社イベントのリリースを組み立ててみてください。

テンプレート(例文付き)で具体的に書く流れ

プレスリリースは「型」に沿って書くことで、読み手にとってわかりやすく、かつ情報の漏れを防ぐことができます。以下は、イベント告知用に使える汎用テンプレートです。

【タイトル】
例:「地域の未来を考えるトークイベントを初開催」

【サブタイトル】
例:「若者・企業・自治体の三者が集まり、まちづくりの課題と可能性を議論」

【リード文】
例:「○○市で、地域の将来をテーマにしたトークイベントを開催します。本イベントは、〜〜を目的に実施され、当日は地元企業や若者代表が登壇し、地域課題について議論します。」

【本文(背景・目的・特徴)】
・なぜこのイベントが必要なのか
・どんな課題に向き合っているのか
・具体的に何が行われるのか
・参加者にどんな価値があるのか
などを段落に分けて明確に説明。

【イベント概要】
・開催日時
・会場/オンラインURL
・参加方法/申込条件
・主催者
・問い合わせ先
などを箇条書きで整理。

【会社概要】
・正式名称
・所在地
・代表者名
・事業内容

このテンプレートを基に内容を当てはめていくと、自然と“記者が読みやすい構成”が完成します。

作成後に確認すべきチェックリストとNG例

プレスリリースは書いたあとにチェックすることで、完成度が大きく向上します。以下の項目を確認しましょう。

<チェックリスト>

  • タイトルだけで「何が起きるイベントか」が理解できるか
  • リード文で「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように」が整理されているか
  • 本文に背景・目的・特徴が論理的に並んでいるか
  • イベント概要に必要情報の漏れがないか
  • 主観的表現が多くないか(事実と意見が混ざっていないか)
  • 数字・固有名詞・比較情報が適切に使われているか
  • 誤字脱字がないか
  • 写真や資料は適切で、権利的に問題ないか
  • すぐに問い合わせができる導線があるか

<NG例>

  • 「盛り上がること間違いなし!」など主観的で根拠のない表現
  • 背景が書かれておらず、イベントの意義が伝わらない
  • 日時・場所・参加方法のどれかが抜けている
  • 専門用語が多く、読み手が理解しづらい
  • タイトルがイベント名だけでニュース性が伝わらない

これらのポイントを押さえることで、プレスリリースの質は格段に上がり、メディアの信頼獲得にもつながります。

まとめ

イベントのプレスリリースは、単に告知情報を整理するだけでなく、「なぜそのイベントを今知らせる価値があるのか」を明確に伝えることが重要です。タイトルやリード文の作り方、背景説明の構成、数字や客観的情報の使い方など、記者が判断しやすい形に整えることで、メディア露出につながる確率は大きく高まります。また、配信タイミングや配信手段を工夫することで、イベントの集客・認知拡大にも効果が期待できます。

一方で、プレスリリースは「正しく書けば成果が出る」反面、「少しの構成ミスで読まれなくなる」繊細な文書でもあります。自社だけで最適化するのが難しいと感じる場合は、専門的な視点を取り入れることが最短ルートです。

株式会社PA Communicationは、企業や自治体の広報支援を豊富に行ってきた経験を活かし、企画段階から原稿作成、配信、メディアアプローチまで一貫してサポートしています。イベントの価値を正しく伝え、成果につながるプレスリリースを作りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

【PAC事例はこちら】

SEE/SAW:リブランディング発表会を開催
Vibram:初となるメディア向け体験会をサポート
CHARLES & KEITH:インフルエンサーを起用したホテル宿泊ステイケーション施策をサポート

****************************************

PACでは、お客様の課題に合わせて最適なサービスを提供しております!
お気軽にご相談ください。
PRについて
お問い合わせ

その他のPAC COLUMN