2025.11.02
2025.10.26
企業やブランドが新商品や新サービスを発表する際、最も注目を集める手段の一つが「プレスイベント」です。記者やメディア関係者を招き、ニュースとして報道される機会を創出することで、広告では得られない信頼性と拡散力を手にできます。しかし、単に会場を用意して発表するだけでは、思ったような成果につながらないこともしばしば。本記事では、プレスイベントの基本から、企画・運営・効果測定までを体系的に解説します。初めて開催する企業担当者から、より戦略的なPRを目指す広報担当者まで、実践にすぐ役立つノウハウを詳しく紹介します。この記事を通して、あなたのイベントを「報道される」成功へと導きましょう。
目次
プレスイベントとは、企業や団体が報道関係者を対象に行う発表・体験型の広報活動の一種です。新商品の発表や企業戦略の発信、コラボレーション企画など、ニュース性を持つ情報を「報道の現場」に届ける場として機能します。広告とは異なり、メディアが第三者の視点で記事化することで、信頼性の高い露出を実現できるのが最大の特徴です。目的は「露出の最大化」と「ブランドイメージの向上」。そのためには、情報の新規性・社会性・視覚的な訴求力が求められます。本章では、プレスイベントの定義や種類、開催の向き不向きなど、実施前に理解しておくべき基礎知識を整理します。
プレスイベントとは、報道機関や業界メディアを招待し、ニュースとして取り上げてもらうための発表・体験の場です。企業が自ら発信する広告とは異なり、記者や編集者が「ニュース価値あり」と判断して報道する点に大きな違いがあります。
その効果は大きく3つあります。
一口に「プレスイベント」といっても、その形態はいくつかに分かれます。
プレスイベントは、すべての情報発信に向いているわけではありません。成功の可否は「ニュースバリューの有無」で決まります。
実施が向いているケースは、次のようなものです。
プレスイベントを成功させるためには、「目的から逆算する企画設計」が欠かせません。イベントを開くこと自体が目的になってしまうと、伝えるべきメッセージや狙うメディアが曖昧になり、報道されにくい発表になってしまいます。まず「どんな成果を得たいのか」を明確にし、その成果に直結する設計を行うことが重要です。たとえば、メディア掲載を増やしたいのか、SNSで話題化させたいのか、業界関係者に信頼を築きたいのかによって、構成もトーンも大きく変わります。ここでは、目的に合わせたターゲット設計、メッセージ設計、開催形式の選定ポイントを整理します。
効果的なプレスイベントは、「誰に」「何を」届けたいのかが明確です。まずはターゲットを明文化し、報道する側(メディア)の興味関心と、自社が発信したい情報を重ね合わせましょう。
具体的には次の3ステップで設計します。
プレスイベントでは、単に事実を伝えるだけでなく、「なぜそれを発表するのか」という背景や意義を語ることが重要です。
発表内容をストーリー化する際は、以下の構成が効果的です。
プレスイベントの開催形式は、目的と参加者の属性によって最適解が変わります。
| 形式 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| オフライン(対面) | 会場に招待 | 体験価値が高く撮影にも適 | コスト・準備負担が大きい |
| オンライン | 配信形式で実施 | 遠方メディア参加可・費用抑制 | 臨場感・双方向性が弱い |
| ハイブリッド | 対面+配信の併用 | 幅広いメディアに対応可能 | 機材・運営体制が複雑 |
プレスイベントは、単なる「一日限りの発表会」ではなく、企画・準備・運営・事後対応を通して成果を最大化する長期プロジェクトです。一般的には、発表日から逆算して8〜10週間前からの計画立案が理想です。企画書の承認、会場・登壇者の確保、メディア招待、進行台本の作成、当日の運営体制、終了後のフォローアップまで、各フェーズでやるべきことを明確に整理することで、トラブルを未然に防ぎ、円滑な実施が可能になります。ここでは、時系列で押さえるべき主要タスクを具体的に紹介します。
イベントの成功は、初期設計で8割が決まるといわれます。10〜8週前の段階では、まず目的・ターゲット・ニュースバリューを明確にし、企画書を社内で承認します。その際、広報部門だけでなく、マーケティング・経営層・制作担当など関係部署の合意を得ておくことが重要です。並行して、登壇者候補の選定(経営層・開発責任者・ゲストなど)と会場候補出しを行います。会場はアクセスや照明、撮影環境、インターネット環境などを考慮し、複数候補をピックアップ。希望日で押さえられるかを早めに確認しておくと、スケジュール変更にも柔軟に対応できます。
7〜2週前の期間は、実務の中心となるメディア対応と制作準備が同時進行で進みます。まず、記者クラブや主要メディアへの招待状送付を実施。リリース送付だけでなく、個別に電話・メールでアプローチすることで出席率が高まります。また、会場を演出するためのバックパネルや登壇用ボードのデザイン制作、プレス用のメディアキット(プレスリリース、製品情報、画像データ、登壇者プロフィールなど)を準備します。デモンストレーションを行う場合は、リハーサルを実施して流れを確認。最後の1週間で、進行台本と機材リストを確定させましょう。
当日は、「予定通りに進めること」よりも「想定外に対応できること」が重要です。まず受付動線と撮影位置を明確にし、記者・カメラマンがスムーズに取材できる導線を確保します。進行台本は、秒単位でのタイムラインを作成し、登壇者・スタッフ全員で共有。照明・音響チェック、映像再生、スライド操作など、最終確認を行います。想定問答(Q&A)は事前に準備し、ネガティブな質問にも誠実に答えられるよう備えます。また、停電・天候・配信トラブルなどの危機管理シナリオを用意しておくことで、記者の信頼を損なわず、落ち着いた運営が可能です。
イベントは終了してからが本当のスタートです。開催後24〜48時間以内に、来場メディアへフォローアップメールを送り、追加資料や写真データを共有します。その後、掲載状況をモニタリングし、露出一覧を整理。主要記事は社内報告用にまとめ、成果レポートを作成します。また、撮影した映像や写真をアーカイブ動画やSNSハイライトとして二次利用することで、イベントの資産価値を高められます。最後に、来場記者や協力関係者へのお礼対応を忘れずに行うこと。こうした細やかな対応が、次回以降の取材協力へとつながります。
プレスイベントの成果を左右するのは、どれだけ多く、そして質の高いメディアに参加してもらえるかです。どんなに優れた内容でも、記者が来なければニュースにはなりません。そのため、集客=メディアリレーションの戦略設計が不可欠です。単にプレスリリースを送るだけでなく、どの媒体・どの記者に・どんな切り口で伝えるかを設計し、丁寧なコミュニケーションを取ることが重要です。また、イベントに来られないメディアに向けたフォロー体制(アーカイブ配信や取材資料提供)を整えておくことで、報道機会を最大化できます。ここでは、招待から素材提供、告知施策までを実践的に解説します。
まず行うべきは、「誰に来てほしいか」を明確にした上で、最適なメディアリストを作成することです。業界紙・経済誌・テレビ局・Webメディアなどを洗い出し、担当記者や編集部名、連絡先をリスト化します。招待状は、イベント概要・開催目的・取材メリットを簡潔にまとめた1枚資料にし、開催2〜3週間前に送付するのが理想です。記者クラブがある場合は、登録ルールに沿って資料を持参・配信します。特に重要なのは、個別フォロー。主要媒体には電話やメールで直接声をかけ、興味を引くポイントを伝えることで出席率を高められます。「この発表はあなたの読者に響く」という具体的な理由を添えるのが効果的です。
報道の現場では「使いやすい素材」があるかどうかで、掲載可否が左右されます。プレスイベントでは、発表内容に加え、メディアがそのまま記事化できるように素材を整備することが重要です。
プレスイベントはメディア招待だけでなく、広く話題化を促す告知設計も重要です。
プレスイベントは「情報を伝える場」であると同時に、「ブランドを体験してもらう場」でもあります。そのため、会場の選定や演出、予算配分は成果に直結します。どれほど魅力的な内容でも、照明や音響、動線が不十分だと、記者の印象は半減してしまいます。一方で、過剰な演出や過大なコストは逆効果になることも。限られた予算の中で、取材しやすく、ブランドの世界観を伝えられる空間を設計することが重要です。ここでは、会場選定のチェックポイント、演出・撮影環境の整備、そして費用項目と見積りの考え方を具体的に解説します。
プレスイベントの会場を選ぶ際は、「記者が取材しやすい環境かどうか」を最優先に考えます。以下のチェックリストが有効です。
イベントの演出は「見せ方の設計」に直結します。特に報道向けでは、フォトコール(撮影タイム)を設けることで、カメラマンが撮りやすく、後日の記事掲載率も向上します。登壇者の立ち位置や照明バランスを事前にテストし、背景のバックパネルにはロゴやキービジュアルを明確に配置。写真1枚でブランドメッセージが伝わるように設計します。
また、オンライン配信を併用する場合は、複数カメラによるスイッチングや音声ラインの確保が必須。コメント映像やSNSでのリアルタイム拡散を想定した構成にすることで、現場に来られないメディアにも訴求できます。
「映える」だけでなく、「使われる」映像・写真を意識することが成功の鍵です。
プレスイベントの費用は、規模や開催形式によって大きく変動します。以下は一般的な費用項目です。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 会場費 | 会場レンタル・控室・備品 | 規模と立地で差が大きい |
| 機材費 | 音響・照明・映像・配信機材 | 技術スタッフ含む |
| 制作費 | バックパネル・スライド・台本・映像 | デザイン会社に外注可 |
| 人件費 | 運営・受付・MC・進行ディレクター | 外部人材の活用も多い |
| 配信費 | ストリーミング・録画・編集 | ハイブリッド開催時 |
| 予備費 | 想定外トラブルへの対応 | 予算の5〜10%を確保 |
プレスイベントは、開催して終わりではなく「どれだけ成果を上げたか」を検証し、次回に生かすことが重要です。効果測定を怠ると、社内への説得材料や改善の指針を失い、同じ課題を繰り返してしまいます。測定の目的は単なる数字の報告ではなく、PR活動全体の最適化にあります。露出件数だけでなく、SNSでの反応や商談につながったかなど、複数のKPIを設定し、定量・定性の両面から評価することが大切です。本章では、KPI設計からレポート化、よくある失敗例までを解説します。
プレスイベントの成果を明確にするには、目的に合わせたKPI(重要業績評価指標)を設定する必要があります。以下は代表的な指標です。
| 分類 | 指標 | 目的 |
|---|---|---|
| メディア露出 | 掲載件数・放映回数 | 認知拡大・話題化 |
| 取材行動 | 来場メディア数・取材申込数 | 関係構築・報道確率 |
| SNS反応 | 投稿数・ハッシュタグ使用数・エンゲージメント | 拡散・二次露出 |
| 来場実績 | 招待数に対する出席率 | 集客・関心度 |
| 事業成果 | リード獲得・商談化率 | 売上・マーケ成果連動 |
| これらを定義し、社内で合意を取ったうえで実施すると、結果の振り返りがしやすく、次のイベント戦略も立てやすくなります。 |
イベント終了後は、報告レポートを作成し、社内・関係各所と成果を共有します。レポートには、露出一覧・主要記事の抜粋・写真・来場者数・SNS反応などを整理し、成果を可視化します。さらに、撮影素材を編集してダイジェスト動画を制作すると、イベントの空気感を短時間で伝えられ、次回以降の営業・採用・ブランディングにも活用できます。
また、SNSで発生した投稿(UGC:ユーザー生成コンテンツ)をまとめて、自社サイトや社内報に掲載するのも効果的です。成果を「一過性」で終わらせず、「資産」として残すことで、企業の広報力が継続的に強化されます。
プレスイベントでは、どんなに入念に準備しても想定外のトラブルは起こり得ます。よくある失敗とその対策を整理しておきましょう。
プレスイベントは、単なる「発表の場」ではなく、企業が社会と対話するための戦略的コミュニケーションの場です。成功の鍵は、目的を明確にし、ターゲットに合った情報設計を行い、体験として記者の心に残る演出をすること。さらに、開催後の効果測定と改善を継続的に行うことで、広報活動全体の質を高められます。
しかし、限られた社内リソースだけでこれらを完璧に実行するのは容易ではありません。そんなとき頼れるのが、株式会社PA Communicationです。PR戦略の立案から、プレスイベントの企画・運営・メディア対応・効果測定までをワンストップでサポート。経験豊富なスタッフが、企業の「伝えたい」を「報道される価値」に変換し、成果につながる広報活動を実現します。
もしこれからプレスイベントを検討しているなら、ぜひ一度PA Communicationにご相談ください。あなたの発表を“ニュース”に変えるための最適なパートナーです。
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